【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
しかしそのすぐそばにレンログ子爵の姿はない。
彼女たちはこちらを鋭く睨みつけていた。その様子に嫌な予感を覚える。

(このままマリアの言う通りになってしまうのかしら。わたしはアデラール殿下のそばにいましょう)

ホレスを守るためにもそうする必要があるだろう。
国王や王妃にも壇上から動かないように言われているし、シルヴィーの周りには護衛がいる。
これも彼女たちが何をしてくるかわかっているからだ。

(……このまま何もありませんように)

そう祈っていた。
次々と貴族たちが挨拶のために壇上に登る。
そこにはシルヴィーの元婚約者であるロランの姿もあった。
彼は伯爵家の令嬢の元に婿入りしたらしい。
しかし以前の面影はなく、くたびれた雑巾のようになってしまった。
しばらく様子を観察していると気の強い伯爵令嬢に尻に敷かれているようだ。

彼はシルヴィーと目を合わせることなく、ガタガタと震えていた。
まさか婚約破棄した相手が王太子妃になり、戻ってくるとは思っていなかったのだろう。
隣にいる妻に腕で合図された彼は泣きそうになりながらも挨拶をしている。


「君……少しいいかな?」

「は、はいっ!」


アデラールがロランの耳元で何かを囁いた瞬間、彼は膝から崩れ落ちてしまう。
伯爵家はロランが失態を犯したことが許せなかったのだろう。
彼は顔を真っ赤にした伯爵令嬢と伯爵に引きずられるようにして会場の外へ。
彼がどこまで耐えられるのか、次のパーティーで顔を合わせられるのかは疑問である。
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