【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
今まで我慢し続けていたシルヴィーがやってみたいたった一つのこと。
それが『貴族の令嬢として素敵な夜を過ごしてみたい』というものだった。
結婚に夢は持っていなくても、異性に興味がないかと言われたら嘘になる。
年頃の女の子らしく、物語のように素敵な令息と恋をしてみたいと思ってしまう。
頭ではわかっていても、ロマンス小説のような恋に憧れてしまっていた自分がいる。
それと同時にそんな幻想から醒めさせてほしい、という複雑な想いがあった。
物語のような素敵な恋ができたのなら……期待半分、諦め半分といったところだろうか。
母が病になる前、シルヴィーは一度だけパーティーに参加したことがあった。
人助けをしたことで途中で帰ることになってしまったが、それだけはシルヴィーの後悔として今も強く残っている。
そのせいか今でも華やかで楽しそうな場に憧れていた。
(これが最初で最後のチャンス。もうわたしに恋も愛も必要ないわ。これからは男に振り回されない人生を送るんだから……!)
貴族でなくなるシルヴィーは生きていくだけで精一杯になるため、今までのご褒美と思い出作りでもある。
それに愛されて美しいドレスで着飾っていたミリアムが羨ましいと思っていたのも事実だ。
それが貴族の令嬢としての未練を断ち切ることにも繋がるだろうと思った。問題は招待状を手に入れる方法だ。
(どうしましょう……こればかりはどうしようもないわ)