【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜

* * *


街へ向かう道は慣れたものだ。
シルヴィーは母が働いている高級服飾店の裏口へと向かった。
店主の妻であるデザイナーのリーズと母はシルヴィーを温かく迎えてくれた。
この八年、母とシルヴィーの活躍があったからかブティックは元々人気があったが、さらに注文が絶えない人気店になったのだそう。
母とシルヴィーの魔法で質がよく美しいレースを他よりも早く大量に生産できることも大きいそうだ。


「ああ、シルヴィー! よかったわ。本当によかった……」

「お母様っ!」

「ありがとう……本当にありがとう」


シルヴィーは母と再会を喜んでいた。
これからはまた一緒に暮らすことができる。
どんなひどい目にあっても母が待っていてくれるから踏ん張ることができた。


「シルヴィー、よくがんばったわね」

「リーズさん、ありがとうございます!」

「あなたならやれると思っていたわ」

 
リーズも元々は貴族の令嬢だったが、持っている魔法が色彩に関するもので役立たずだからと虐げられていたそうだ。
理不尽な扱いに反発するような形で家を出た。
何も知らないリーズは自分の能力を生かそうと高級服飾店を回ったが、どこも門前払い。
幸運なことに当時の店主に助けられて、そこの息子と結婚したそうだ。

子どもはリーズの魔法の力を引き継ぐことはなく、今は幸せに暮らしている。
片方が魔法を使えて、もう片方が魔法を持たない場合、生まれてくるほとんどの子どもが魔法を持たない場合が多い。
魔法を使えたとしても一時的で幼少期に魔法が消えてしまうことも多いそう。
ミリアムのように魔法を使い続けるのは稀だという。

だからこそこの年齢まで魔法を使えるミリアムは特別なのだと信じていた。
自分は特別なのだとシルヴィーに自慢げに語っていたことを思い出す。
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