【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜

「シルヴィー……とても綺麗よ」

「ありがとう、お母様」

「これは私のお守りよ。シルヴィー、持っていって……」

「これ、わたしのハンカチ! まだ持っていてくれたの?」

「もちろんよ。あなたにもらった大切なハンカチだもの」


渡されたのはシルヴィーが七歳の時、母の誕生日にプレゼントしたお揃いのハンカチだった。
とはいっても、シルヴィーの分は初めてのパーティーで見知らぬ令嬢にあげてしまいなくなってしまったのだが。
母はいつもお守りとして持ち歩いているらしい。


「最後の夜を楽しんでね」

「シルヴィー、気をつけて……」

「ありがとう! いってきます」


温かく送り出してくれたリーズや仲間たちに手を振る。
今日を境にシルヴィーは貴族の令嬢としての人生や社交界への思いを断ち切るのだ。

会場から少し離れた場所で店から、リーズから借りた馬車を降りた。
本来は貴族の邸宅にドレスを届けるためのものだ。
シルヴィーは仮面を外れないようにつけ直す。
帰りは近くにある宿に泊まり、朝に帰る予定だと伝えた。
真っ黒な空には月が昇り、星が光を放っている。
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