【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
ウェイターに勧められるがままオレンジ色の液体が入ったグラスを受け取る。
またアルコールだろうかと匂いを確かめると柑橘系の爽やかな香りを強く感じた。

(これもお酒なのかしら……)

目の前に立つウェイターはシルヴィーが飲むのを待っているのだろうか。
気まずい沈黙が流れる。この場合、どうすればいいかわからずにシルヴィーはグラスを一気に空にする。
カッと熱い液体が喉を通り抜けて咽せてしまいそうになったがなんとか堪えた。
どうやら強いお酒だったようだ。後から襲う苦味に顔が歪んでしまう。

ウェイターは空のグラスを受け取ると丁寧に頭を下げて去っていく。
どうやらグラスを空にして正解だったようだ。
自分のことに手一杯だったため、ウェイターの唇が弧を描いていることに気づくことはなかった。

シルヴィーは仮面は顔を上半分ほど覆い尽くしているため、口元を押さえつつも端へと向かう。
しばらく吐き気が落ち着くまで待っていようかと思ったのだが、浮遊感はどんどんと強くなるばかり。

(とても強いお酒だったのかしら……このままだとよくないわ。一旦、外に出て気分転換しなくちゃ)

視界が時折ぐにゃりと歪んできたため、シルヴィーは人混みをかき分けながら少しでも酔いを覚そうとテラスに移動しようとおぼつかない足を必死に動かしていると……。
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