【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
シルヴィーはが俯いているのが気に入らないのか顎を掴まれて、無理やり顔を上げられてしまう。
臭い息を顔面に吐きかけられた瞬間、シルヴィーの中で何かが壊れた。

(ああ……もうどうでもいい。本当に……最悪だわ)

シルヴィーはグッと下唇を噛み締めた。
ラディング侯爵はシルヴィーが怯えもせず泣いてないことが予想外だったのか、不機嫌そうに片眉を上げた。


「ふんっ、諦めたか。まぁ強気な娘が泣き喚くのも悪くないな。暴れられても困る。拘束させてもらおう」

「…………」

「大人しくしていれば痛い思いはしないさ」


ラディング侯爵は大人しくさせるためなのか、縄と鞭を持って近づいてくる。
こうなってしまえば、か弱い令嬢ならば萎縮してしまうに違いない。
ここで九人の令嬢が涙を流して、彼の犠牲になってきたのだろうか。
そう思うと胸が張り裂けそうだ。

(なんて奴なの……最低だわ)

シルヴィーは怒りは頂点に達していた。
ラディング侯爵に弄ばれた他の令嬢たちは、どれだけの屈辱に耐えていたのだろう。考えただけで胸が痛む。

(コイツもお父様も……いえ、違うわね。レンログ伯爵も許さないわ)

シルヴィーも元家族とも言いたくないクソ共に苦しめられた。
もう平民となるシルヴィーを遮るものは何もない。
今まで押さえつけていた感情が暴走して、自分の中では抑えられなくなっていく。
シルヴィーは胸元のドレスに肉厚な手が触れたところで口を開いた。
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