【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
青年は心配そうにシルヴィーの体を支えてくれた。


「もうすぐ医師を呼ぶよ。だから……」

「…………?」


何か言っているような気がしたが、もう意識があったりなかったりを繰り返している。
青年がシルヴィーを抱え上げて、ベッドに寝かすのと同時に思いきり仮面を剥ぎ取った。


「な、なにを……!」


凄まじい力で引っ張ったせいか、青年は眉を寄せつつ痛みに顔を抑えている。
シルヴィーはそんな彼を気にかけることなく仮面を放り投げた。
床にカランカランと仮面が落ちる音が聞こえる。
端正な顔立ちが露わになり、ライトブルーの透き通った瞳、左目の泣きぼくろが見えた。

(…………あの時と一緒だわ)

シルヴィーは細かくこだわって作られた襟の金の刺繍に釘付けだった。
それにジャボや袖口のレースの作り込みが素晴らしい。

(なんて素敵なデザイン。もっと近くで見たい……!)

シルヴィーは今後のためにもデザインを近くで見たい、そんな思いから胸元を掴んだ。

(やっぱりこんなにも丁寧に作られているわ。糸の発色も申し分ないじゃない! ああ、こんなに美しいものを見られるなんてっ)
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