【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
人生初めての夜会に行っていて、ウェイターに勧められるがまま酒を飲み、ラディング侯爵に部屋に連れ込まれたのだ。
そしてベッドに押し倒されて……。
そのことを思い出した瞬間、ゾワリと鳥肌がたつ。
シルヴィーがはっきりと覚えているのはそこまでだった。

(そうだわ! わたしはラディング侯爵に……!)

シルヴィーはあのままラディング侯爵と関係を持ってしまったのか。
恐る恐る目を見開き、首を横に傾けると明らかにラディング侯爵ではないことだけはたしかだ。
細身だが筋骨隆々とした背中と、襟足が長いシルバーの髪を見つめながら目を見開いた。

それに加えて、シーツをめくると自分もドレスを脱ぎ捨てて下着姿なことに気づく。
シルヴィーからサッと血の気が引いていった。
それと同時に名も知らない青年を服を引き千切ったり号泣したり襲いかかった記憶がぼんやりとあるが気のせいだと思いたい。
シルヴィーは両手のひらで顔を覆うように押さえた。

(ど、どうしましょう……!)

ぼんやりとたゆたう蝋燭の光に照らされた首筋。
シルバーの髪がはらりと首筋に散り色っぽいが、少し顔色が悪いようにも見える。
もしかしてシルヴィーが関係を持ったのは、女性たちに囲まれていている全部仮面を覆い隠していた青年だなのだろうか。
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