【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
彼も上半身裸なのだが、ひとつだけ問題があった。
それは明らかにシルヴィーがつけていた口紅や、噛み跡や引っ掻き傷などが背中にびっしりとあること。
恐る恐る自分の手を見るとほんのりと爪の間に血が滲んでいる。

(わ、わたし……見ず知らずの人と関係を持ってしまったの?)

そう思った瞬間、全身から血の気が引いていく。
薄っすらとではあるが、シルヴィーが青年に襲いかかる断片的な記憶が蘇る。
お酒の力で開放的になっていたのは仕方ないにしても、彼を無理やり襲ってしまったことには変わらない。

(わたしったら、なんてことを……! なんてことをしてしまったのかしら)

合意だったのか合意でなかったのか、それすらもわからない。
もし合意ではなかった場合、シルヴィーを襲おうとしたラディング侯爵と同じことをしてしまったことにならないだろうか。
申し訳なさと罪悪感とでシルヴィーは押し潰されてしまいそうだった。

(どっ、どうしよう、どうしたらいいの……!)

そう思っていても本人に問いかける勇気はない。
窓の外を見ると、どうやらまだ夜は明けていない。あまり時間が経っていないことに安堵する。

(貴族の男性は貞操を守らなければならない令嬢とは違うと聞いたことがあるわ。大丈夫、これは全部お酒のせいだから)

床にはラディング侯爵が両手を拘束されてうつ伏せのまま意識を失っているではないか。
尻部分の服はめくれて上部は真っ赤に腫れてている。

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