【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
母と二人、穏やかに暮らしていたがシルヴィーが九歳の時、母は病になった。
医師に診せると時間はかかるが薬を飲んで安静にしていたら治ると聞いて安心していた。
しかし父は治療費や薬を買う金を出し渋ったのだ。
それにはシルヴィーも大きなショックを受けたのと同時に怒りを覚えた。

シルヴィーは侍女たちと共に母の看病をしていた。
緊張感のある生活が続いたが、安静にしていることでなんとか症状の悪化を防ぐ日々。
母の分までシルヴィーは屋敷の仕事を積極的に行っていた。

けれど薬は手に入らない。
シルヴィーも母も、父にすべてお金を取られており自由に使えるお金を持ってはいなかった。
シルヴィーは父に泣きながら母を助けてもらうように頼み込むが、こちらを忌々しそうに見つめながら父は吐き捨てるように言った。
『いつまでも泣くな。鬱陶しい……! そんなくだらないものに使うお金はないんだ』
シルヴィーは大きなショックを受けたことを今でもよく覚えている。
それから結婚というものに絶望していた。

(……わたしは結婚なんてしたくない)

そんなある日のこと。
堂々と置いてある豪華なドレスやアクセサリーのプレゼント。
一目見て高級なものだとわかった。

(わたしたちではない誰かにあげるプレゼントなんだわ。こんなものを買うお金があるなら、お母様の薬を……っ!)
< 6 / 210 >

この作品をシェア

pagetop