【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
その間、シルヴィーは七歳の時に一度だけパーティーに出たことがあった。
貴族らしいことをしたのはそれが最初で最後だ。
母がドレスを作ってくれて、夢のような煌びやかな世界で一日を過ごした。あの日のことを今でも鮮明に思い出すことができる。
とはいっても出会った令息と令嬢の着ていたドレスやジャケット、美しい刺繍に釘付けだった記憶しかないが。
パーティーを楽しもうとしたが、とある令息のジャボというひだがついた胸飾りが破けてしまい困っていたのを放っておけず、ありったけの魔法を使い、それを直したまではよかったが魔力切れでそのまま帰ってしまった。そのことは今でも悔やまれる。
彼と泣いていた令嬢が何かを言っていたような気もしたが、粗相をしてしまわないようにと馬車に駆け込んだのだ。
今後パーティーに出られないのなら、あの時にもう少し魔力があったら楽しめたのにと今でも後悔していた。
(あの人たちは大丈夫だったかしら……)
夢のような時間は一瞬だけ。
お金は父が愛人に注ぎ込んでしまうためシルヴィーは貴族らしい生活などできはしない。
相変わらず屋敷からは出られない生活が続いていたが、シルヴィーは幸せだった。
侍女や執事の仕事を手伝ったり、母に魔法でレース編みのやり方や刺繍を習い過ごしていた。