【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
二歳になったホレスはとにかく顔がいい。クリッとした目、形のいい唇。
ホワイトゴールドの髪やブルーの瞳がまさしく天使なのだ。
わかるのは左目の泣きぼくろと、この幼さで魔法の力を使うこと。
わかってはいたが、あの時の記憶が蘇る。
妊娠中はもしかしたらラディング侯爵の子かもしれないと頭によぎったが、元ラディング侯爵はレッドブラウンの髪に赤い瞳だ。
となれば、あそこにいてシルヴィーと助けてくれたのはアデラールということになる。
彼にも泣きぼくろがあったのは記憶を失う前にはっきりと覚えている。
それにこの髪色と目の色には王族に……と、いうよりはアデラールに近い配色ではないだろうか。
一夜の過ち、だけどこんなことになるなんて思いもしなかった。
それにやり逃げしたシルヴィーに対して、アデラールは怒っているに違いない。
あの時は意識が朦朧としていたとはいえ、許されることはないはずだ。
(彼に見つかったらどうなるのか、考えたくもないわ)
シルヴィーはあまり外に出ないように心掛けていた。
ホレスにも申し訳ないが、見つかればシルヴィーは極刑でホレスを二度と抱きしめることは叶わないだろう。