【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
「ぎゅっ……ない」

「え……? ホレス、どういうこと?」


手を握りながら泣きそうになるホレス。
だけど言葉の意味がわからずにシルヴィーは眉を寄せる。
ホレスに詳しく話を聞こうとした時だった。


「あっ、ぴょんぴょん」

「ホレス、さっきのことなんだけど……ないって何がないのかしら?」

「ぴょんぴょん!」


しかしすぐにおもちゃに気を取られたのか、うさぎのぬいぐるみの方へと向かってしまう。
その後、何度聞いてみてもホレスは答えてくれることはなかった。
けれどホレスが何か変化を感じていることは確かだ。

母にも相談はしているが、もし本当にホレスが大きな力を持っているのだとしたら、ホレスのためにも王家に相談するべきではないかと言っていた。
リサやリーズには相手がアデラールということまでは話していない。
シルヴィーの中に不安が募っていく。

(もしホレスに何かあったらどうしたらいいの……嫌な予感がする)

母親の勘だろうか。
シルヴィーの頭にチラリとアデラールの顔が思い浮かぶ。
彼は今、どうしているだろうか。
そう考えながらシルヴィーは楽しそうにうさぎのぬいぐるみで遊んでいるホレスを見つめていた。
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