【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
シルヴィーがホレスの名前を必死に呼んでいる時だった。


「ホレス、聞こえるかい?」

「だ、れ……?」

「君を助けにきたよ」

「…………?」


ホレスの顔は真っ赤になっているが、アデラールに名前を呼ばれて顔を上げた。


「ホレス、よく聞いて。君は今、力を抑えすぎているんだ」

「ちから……?」

「全部、解放してごらん」


しかしホレスは必死に首を横に振る。
アデラールが大丈夫だと訴えても、彼は頑なに否定を続けていた。
小さく呟くように「まま、かなしいから」と答えた。


「僕がホレスの力を打ち消すから大丈夫だよ。だから思いきりやってごらん」

「……!」

「ママに悲しい顔を絶対にさせないから。約束する」


アデラールの言葉から、ホレスの熱が出た原因が魔法にかかわることだとわかる。

(もしかして……わたしがホレスに魔法を使うのを抑えるように言っていたせいでこんなことに?)

シルヴィーは毎日のようにホレスに魔法を使わないように言い聞かせていた。
そのことが彼を苦しめる原因になってしまったのだ。
罪悪感や申し訳なさが込み上げてくる。だけど今は泣いて後悔している場合ではない。
アデラールの言う通りにした方がいいだろう。
シルヴィーは不安そうにこちらを見ているホレスを抱きしめてから頷いた。
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