【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
「ホレス、全部力を使ってみましょう?」

「いいの……?」


シルヴィーがアデラールに視線を送ると、彼は柔らかい表情で笑みを浮かべている。
アデラールは王太子で強い魔法の力を持っているため、何らかの方法で力を防ぐことができるのかもしれない。
シルヴィーはホレスの頬を撫でながら頷く。


「ホレス、大丈夫だからやってみて」

「……うん!」


シルヴィーが頷くと、ホレスがゆっくりと腕を上げた。


「──えいっ!」


そんなホレスの声と共に竜巻のように大きな突風が空に浮かび上がる。
シルヴィーも立っていらないほどの風圧だが、なんとか吹き飛ばされないように踏ん張っていた。
ホレスも魔法を放った後、必死にシルヴィーにしがみつく。


「大きな力だね……皆、目を閉じていて」


アデラールの声が聞こえて、シルヴィーは目を閉じつつホレスを抱きしめる。
何かがぶつかる大きな音が聞こえた。


「わぁ……!」


ホレスが感動したような声を上げる。
シルヴィーも恐る恐る目を開くと、そこには霧のように降り注ぐ水と、
空に浮かぶ虹が見えた。

ホレスが降ろしてとでもいうように足をバタつかせている。
お腹を足蹴りにされているシルヴィーは痛みからホレスを降ろす。
先ほどまで高熱でぐったりしていたのが嘘のように、ホレスは虹に手を伸ばして追いかけている。

あんなにも体調が悪そうだったのに信じられずに、シルヴィーは驚きすぎて動けずにいた。
ホレスは何事もなかったように勢いよく飛び跳ねている。
< 94 / 210 >

この作品をシェア

pagetop