【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
「…………うそ」


思わず口からこぼれ出た言葉。
アデラールもそんなホレスを見て微笑んでいると、ホレスがアデラールに向かって両腕を伸ばしている。


「だっこ、だっこ!」

「うん、抱っこしようね」


ホレスはアデラールに抱っこしてもらい、虹に触ろうとしているのだろうか。
輝くような笑顔、こうして並んでみるとホレスとアデラールはよく似ている。

(ホレスが男性にすぐ懐くなんて……)

さすが国民に大人気の王太子といったところだろうか。
ほぼ毎朝といっていいほど顔を合わせていたベンにも挨拶できるようになるまでだいぶ時間がかかったし、新聞配達のレオンにも手を振り返すまでは長かった。
なのにアデラールには会ってすぐに心を許しているように見えた。
そんな光景を見つつ、シルヴィーはホレスの体調を問いかけるために二人の元に駆け寄る。


「ホレス、熱は!? 体調は大丈夫っ!? 痛いところはない?」

「ないない!」

「ほ、本当に?」

「うん!」


ホレスは先ほどの体調不良が嘘だったかのように元気になったようだ。
だけど何日も高熱で苦しんだはずなのに一瞬でよくなり信じられない気分だった。


「もうホレスは安心だよ。魔力を体内に溜めすぎたんだ」

「……やっぱり」


やはりシルヴィーの予想通りだったようだ。

(わたしのせいでホレスは……)

シルヴィーが青ざめていると、アデラールはホレスをベンとリサに頼む。
虹に触れようと夢中のホレスを抱き抱えているベンは、げしげしと胸あたりを足蹴りにされているではないか。
< 95 / 210 >

この作品をシェア

pagetop