【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜

(ホレスだけは幸せにしてほしいって伝えないと……伝えないといけないのにっ)

突然やってきた別れに涙が込み上げてくる。
先ほど振り払ったアデラールの手を取ってから、涙を堪えながら顔を上げた。


「ホレスを……っ、幸せにしてください」

「ああ、約束する」

「……わたしはっ、どうなっても構いませんからホレスだけはっ」


シルヴィーの声は震えてしまう。泣き顔を隠すようにして俯いていた。
異変を感じ取ってかホレスがいつのまにかシルヴィーの足にしがみついた。
泣いていることをバレないようにしなければならないのに、次々と涙があふれて止まらない。


「泣かないで、シルヴィー」

「…………っ」


アデラールがそう声を発すると、ホレスがシルヴィーを守るように両手を広げた。


「めっ!」

「ホレス……?」

「だめっ! あっち、めっ!」


ホレスはどうやらアデラールがシルヴィーを泣かせたと思っているのだろう。

(ホレス……ありがとう)

シルヴィーはホレスを後ろから抱きしめる。
小さい体で懸命に守ろうとしてくれているのだろう。そんな姿が愛おしい。
ホレスはシルヴィーの髪を小さな手で撫でながら「まま、いいこ」と必死に励まそうとしてくれている。
そんな気持ちが嬉しいのと同時に悲しいのだ。


「ごめんね、ホレス……!」

「まま、だいじょうぶ?」

「大丈夫よ、ありがとう」
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