そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~
「来るよ」
律の短い合図に、意識を一気に研ぎ澄ませる。
闇の向こうから、姿を現したのは四人。
銃を持った男が一人。
ナイフを構えた男が、三人。
気配は確実にそれ以上ある。
でも、一気には来ない。
そして…銃口は蓮を捉えている。
最初に動いたのは、ナイフの男だった。
私が蓮へ向かおうとする直線を、“遮るように”私の前へ滑り込んでくる。
地面を蹴る音と同時に刃が月明かりを反射する。
私は正面から迎え撃つ。
一歩、踏み込んで相手の手首を蹴り上げた。
「っ!?」
ナイフが宙を舞い、そのまま肘を入れ、体勢を崩したところに回し蹴り。
男が地面に叩きつけられるのと同時に、背後で銃声。
「……っ」
反射的に身を低くする。
でも、弾丸は私じゃなく、蓮のいた位置を正確に撃ち抜いていた。
っ…とにかく蓮を守らないと。
私は起き上がりざま、もう一人のナイフ男に距離を詰める。
刃を振り下ろされる瞬間、懐に潜り込んで腹部へ拳。
その間に蓮は銃を持つ男の距離を詰め、銃口を掴んで迷いなく捻った。
骨が鳴る嫌な音。
男の悲鳴が上がる前に、蓮の拳が顎を打ち抜く。
躊躇も容赦もなく、倒れた相手を一瞥もせず次の敵を見るその目は、完全に“若頭”の顔だった。