そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~
律の視線が、銃を持ったまま倒れている男からゆっくりと蓮へ移る。
眉が、わずかに寄った。
「……おかしい」
おかしい、何が…?
「 Nocturneは、彩葉を狙っているはずじゃ……」
………え?
次の瞬間。
──カチャ。
音の方を見れば、蓮の頭のすぐ横に突きつけられた銃口。
………っ!?
息が、止まった。
いつのまに。
気配が——全く、なかった。
それにあの男。
「………昨日の…!!」
──遊園地で、私に絡んできた、昨日の怪しい男。
私の声に、男は楽しそうに笑った。
「昨日ぶりだね。覚えててくれたんだー?」
昨日もそうだった。
後ろに立たれても、声をかけられるまで全く気づかなかった。
気配を消すのが異常なほど上手い。
…ここから動くのは間に合わないと思って、
咄嗟に、護身用に持ち歩いていた銃を構えた。