そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~
そんなことばかり考えているうちに、家に戻されたのは二日後だった。
学校はしばらく休めと言われ、
俺は神楽組の屋敷で静養…という名の、ほぼ軟禁生活。
それでも。
夏祭りの一件があってからの彩葉は、どこか前とは違っていた。
様子が変、というより。
……心の距離を感じる。
あの夜、俺に好きだと言って必死に抱きしめてきた彩葉が、いなくなったみたいに。
まるで全部夢だったみたいに。
時間だけが、出会った頃に戻ったみたいだった。
──昼。
両親は二人とも外出中で、今日は彩葉が昼食を作ってくれた。
俺はまだ腕を無理に動かすなと言われているから、手伝うこともできず、リビングで待つしかない。
運ばれてきた皿が、テーブルに置かれた。
「ありがと」
「うん」
でも、一人分の食事だけ。
で、彩葉は返事だけしてそのまま部屋を出ようとする。
「彩葉」
名前を呼ぶと、振り返ってはくれた。
でも、前みたいな笑顔はそこにはなかった。
「なに?」
「……一緒に食わねぇの」
いつもは何も言わなくても、当たり前みたいに向かいに座っていたのに。
「……… Aegisからの、タスクが溜まってるから。そっち先に終わらせる」
そう言って、視線を合わせないまま去っていく。
胸の奥に、小さな棘が刺さる。
「……なんだよ、それ」
独り言みたいに呟いて、箸を取った。
修学旅行二日目の夜も彩葉の様子がおかしかった時があったけど、
あの時と違うのは…わざと距離を作られている気がすること。