そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~
何も言わない私を見て、蓮はふっと息を吐いた。
蓮の手が私の顎に触れて、ゆっくりと顔を上げさせる。
久しぶりに触れられたその指先の温度だけで、胸がぎゅっと締め付けられた。
「俺が怪我したこと、自分のせいで…とか思ってる?」
…そうだよ。
だって Nocturneは、最初から私を狙っていた。
私を脅すために、蓮を巻き込んで。
その結果、庇われて。
「自分がそばにいると危ないから、護衛として失格だから?」
「っ……」
言ってない。
何も言ってないのに。
どうして、心の奥を覗いたみたいに全部言葉にしちゃうの。
何も言い返せなくて、
でも、黙っていること自体が、肯定しているみたいで。
「んな理由で俺を避けようって、納得する訳ねぇだろ」
………蓮の言ってることは、もっともで。
返す言葉がない。
「俺、彩葉が思ってるよりも相当彩葉に惚れてんだよ。お前が隣にいないと、落ちつかねぇの。ちょっと避けられたぐらいで嫌いになんてなんねーから。」
そう、言われて。
胸の奥で、何かが崩れ落ちる音がした。