そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~
「……なに?」
わかってるくせに。
私が避けたから、今日はそんなに意地悪なの?
私は目を閉じて、観念した。
………これで、最後にするから。
「……唇に……」
声が、震えていた。
言ってしまった瞬間、胸の奥がぎゅっと掴まれる。
そのまま、蓮は私の額に自分の額を当ててきた。
「……ん。ご褒美」
囁くように、そう言って。
次の瞬間。
唇に、ふわりと柔らかい感触。
前みたいに深いキスじゃない、優しいキス。
ほんの一瞬触れただけなのに、それだけで胸がいっぱいになる。
……好き。
どうしても、どうやっても消えない。
…音葉の言った通りだ。
好きになった気持ちって、簡単には消せない。
でもこれ以上、私の事情に蓮を巻き込めない。
でもこの夜だけは、蓮のそばにいたい。
──だから、今日だけは許して。