運命的な出会いには裏がある。
「初音にどこに住んでんのかって強引に聞き出した。どの辺に住んでるって聞きだしたから細かい住所までは知らなかったけど。それから引っ越すから事業所を変えてたいって言って職場を変えて、一旦ここじゃないところに最初は住んでた」

「で、でもさ、エリアなんてここに配属されるかわかんなかったでしょ」

「住所さえ知れたら後は何でもいいって思ってた。そしたら適当に近くの家でも借りて近づいてって、後はなるようになれとしか」


 偶然ここのエリアにあたって、私と毎度配達で会う様になって、マンションは運よく隣が空いたとでも言うのだろうか。

 ある意味色々な偶然が重なり過ぎている。普通は怖いと思う場面なのかもしれないけれど、暖が運でここまで私の近くに来たならそれこそ運命なんじゃ…?と若干おかしな方向に思考が動いていた。

 初音に話したらきっと怖い顔をして「ばっっっかじゃないの?」と言われそうな気がする。


「マンションは本当に探し出したときに琴葉の隣が空いているの知ってて、それで引っ越して、ずっとタイミングを探ってた。そしたら中々琴葉と会わないし、それで前初音と飲みに行ってたあの日」

「あの日って…」

「琴葉が運命の出会いをした人と付き合いたいって言ってた日」


 確かにそんな話をした。あの日に夜、暖と会って同じマンションでお隣さんだったことを初めて知った。
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