運命的な出会いには裏がある。
「初音に、琴葉と飲みに行く時は事前に言ってってお願いしてた。だから、店も場所も日時も知ってたし、そこで琴葉たちがどんな会話してんのかも近くの席で聞いて…。…こんな恥ずかしいネタ晴らしある?」

「もうここまで来て隠すなんて考えないで。ここまで知ったら全部知る権利私にはあるでしょ」


 困った表情をしている暖にそう言うと、何も言い返せなくなっていた。大胆な事をしているくせに少し恥ずかしそうなのが可愛い気もする。

 顔が良い男が照れている姿は尊い。


「何で初音は暖の言う事聞いてるの?初音、断ってたでしょ?」

「…本当に怒らないでやってほしいんだけど」

「うん?」

「初音、常に金欠なのに推し活とかしてるじゃん?」

「まあ、うん」

「推しとの握手会行きたいのに金ない~~~~!ってSNSのストーリーで嘆いてるの見て、その交通費とイベント代出してやるから琴葉と会う日は教えてって買収した」


 まさかの私<推しイベント!!!!!

 初音が揺らぎそうなポイントをしっかり押さえて、ちゃんと落としている暖、あっぱれとしかもう言い様がない。


「…もしかして住所の時もそれで?」

「…はい」


 もちろん暖が危険な男じゃないのを分かっているから、思わず協力したのだと思うけれど、だとしても初音は人の個人情報を何だと思っているのか。
< 30 / 61 >

この作品をシェア

pagetop