運命的な出会いには裏がある。
 焼肉を食べてから映画館に向かうも暖がシャツを掴んで「完全に失敗した。匂いくせぇ」と嗅いでいる。

 そう言われれば2人共匂いの事を忘れていたと思いドラッグストアで消臭スプレーを購入してお互いに振りかけた。


「大丈夫かな。迷惑じゃね?」

「そんなについてないと思うけど」

「嗅いでみてくんね?」


 そんなイケメンからのお願いに目を見開いてしまう。暖は私の気持ちなんて知らず腕を差し出している。

 良いんですか、イケメンからの、そんな…。

 私の変態思考は限界を迎え目を見開いていると「琴葉、目血走ってて怖いんだけど」と苦笑いされる。


「任せて、しっかり嗅ぐ」

「しっかり嗅ぐやめてな?」


 そう言いながら近くで匂いチェックするもシトラスの爽やかな香水の香りしかしない。

 このにおい、好きかも。


「大丈夫、全然臭くない」

「良かった。映画前に焼肉避けるべきだったわ。ごめんな、配慮足らずで」

「大丈夫!消臭も出来たし、大丈夫だよ」


 そう笑いながら、映画館のチケット売り場と売店の前に来た。


「ポップコーンいる?」

「いや、夕飯後だから飲み物だけで良いかも。お腹いっぱいだよ」

「俺も、買いに行こ」


 今日はずっとお店以外では手を繋いでくれていて、引いていてくれる。最初は鼓動がうるさくて落ち着かなかったけれど、今は段々安心感を感じる様になってきた。
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