運命的な出会いには裏がある。
 映画が始まっている間も手は繋がれていて、時々暖の方を見ると暖は眠たそうにしながらも画面を見ていた。

 きっと私が見たいと興味ありそうだったから連れてきてくれただけで、暖自体は恋愛映画にあまり興味が無いんだと思う。


「…暖」


 耳元で声を潜めて掛けると暖はこちらに向く。その顔の近さに驚くけれど、暖は耳を貸してくれる。


「面白くない?恋愛映画好きじゃない?」

「あまり見ないかも」

「帰る?」

「何で?見よう、せっかくだし」


 暖はそう言うとこちらを見ている。少しの間見つめ合っていると暖は「何可愛い顔でこっち見てんの。映画見ろって」と言い、ふっと笑みを零している。

 黙ってスクリーンの方に目を向けるも、暖が気になって全然集中が出来ない。

 その後も映画を見続け、終わるのを待った。全く中身は覚えていない。
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