運命的な出会いには裏がある。
「楽しかった?初音とのおでかけ」


 暖はテーブルに頬杖を付いて、口元には笑みを浮かべながら問い掛けてくる。その時のお顔が絶妙に格好良くて、私は倒れない様にグッと耐えた。


「楽しかったし、久し振りにいろいろ話せたよ」

「謝ってたんじゃない?初音」

「それはもう、かなり」

「だろーな」


 初音の様子が想像付くのか笑っている。

 いまだに初音と暖が従兄妹なんて信じられないなと思ったりもするけど、現実に起きた事だ。

 初音のSNSを見て私を気になってくれたのも、初音を通じて接触してきたことも。どれもインパクトが強すぎて嘘でしょ?と思うけど、嘘ではない。


「何か、変な感じするよね。暖と私が付き合ってるのもさ」

「…そうかもね。俺からしたら夢みたいって思うけど」


 テーブルの上に乗せていた私の手を優しく掴むと指先に軽く口付ける。暖は人前なのに平気でこういうことをする。
私の顔はおかげさまで見ていられない程真っ赤になっていると思う。


「だ、暖!人前!」

「誰も見てないって」


 おまけに顔が良いのに目立つ自覚も無いらしい。
 周りの女性の目を惹いておいて、どうにかならないものかこの無自覚イケメン。

 暖は口元から指先を離すと、目を細めて微笑んでくるから、私の事好きで仕方ないんだって思えてしまう。
 どうして私はこんなにもこの人に好かれているのかわからない。
 今はどうして、なんて確かめる野暮なことはせずただただこの人からの溺愛を受けて、本当に溺れているだけ。
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