運命的な出会いには裏がある。
「まじで気付いてないんだもんなあ。でも、鮎川さんと確かに会った事ないかも」

「在宅勤務だから家から出ないんですよね…」

「なるほど。だから平日でも家に居るんだ」


 一緒に同じ階に上がるためにエレベーターに乗り込んで、5階のボタンを押す。

 イケメンが隣に住んでいるなんてラッキーと思うべきなのだろうけど、今まで通り接点など無いだろうから、あまり関係無いかと考えて少し寂しくなった。


「じゃあ、また配達の時会うと思いますので。戸締りはきちんとしてくださいね。身体もあっためてゆっくり休んでください」

「お兄さんも。配達いつもお疲れ様です」

「ありがとうございます。それじゃ、おやすみなさい」

「おやすみなさい」


 そう挨拶を交わすとお互いに部屋に入って行く。

 もしかしてこういうのが少し運命っぽい?と思ったけれど、あまり考え過ぎないようにした。

 確かにこのマンションは配達事業所も近いし、ここに住んでいると言われても何も変ではない。

 …隣の部屋は衝撃だけど。
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