運命的な出会いには裏がある。
 それから数日後、朝からごみを捨てに行った帰りにポストを見た時だった。いつも通り何かのお知らせの紙と、近所のスーパーのチラシ。それと、徒歩5分の所に新しくジムが作られたとのことだった。

 身体を動かせるし、もしかしたら程よく筋肉の付いたイケメンが…!

 そこまで考えて何となく浮かんだのが、いつも来る配達のお兄さんの顔でぶるっと体を震わせた。タイプの顔というのは本当に怖いもので、イケメンとワードを出しただけですぐにあの顔が思い浮かぶ。

 人懐っこい表情は当然好きだけど、あの真顔の時の大人びた表情がたまらない…、と少し変態チックな考え事をしてから、自分の部屋に戻る。

 確かにあの完全タイプな見た目はいないかもしれないけれど、間違いなく新環境に行けば出会いはあるし、男性との縁はなくても友達出来るかも。と結構軽く考えていた。

 そもそも初対面の人といきなり話す能力を持っていない私が、しょっぱなから仲良くなれるわけがないのである。

 当然、そんな調子でジムに入会してみたわけだけど…。

 身体を動かすのは楽しかったし、トレーナーのお兄さんはガタイが本当に良い、人もよさそうな感じだった。タイプではないのが残念だけど、いい人でまわりは少し健康に危機感を覚えているぽっちゃり体系の中年男性と、楽しそうにウォーキングしている60代くらいのマダムのみだった。

 私と歳の近い人は、しいて言えばそのトレーナーさんくらいだ。それでも10歳は離れている。
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