鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「残念ながら、スイは人間の言葉を話せない。訊きたいことがあるなら、私に直接訊いたらどうだ?」
「っ、部長……」
電話の声は聞こえなかったから油断していた。どうやら梢の声は向こうに届いていたらしい。非常にまずいところを聞かれてしまった。
どうにか誤魔化したいところだが、なにも言い訳が思い浮かばない。
「黙っていても、なにも変わらないぞ。君は噂を鵜呑みにして、真実を確かめもしないのか?」
孝仁の言葉が胸に刺さる。物事の真偽を確かめず、憶測で決めつけるのは褒められた行いではない。暗に、そういう人間なのかと問われている気がして、このままだんまりを決め込むことはできないと思った。
「……彩芽さんと婚約しているという噂は本当ですか?」
「婚約はしていない」
噂の否定に少しだけほっとするも、『婚約は』という含みを持たせた言い方が気にかかる。
「本当ですか……? お二人は社長公認の仲で、いずれは部長が婿入りして、社長になると聞きました」
「それは一部分だけ正しい。大半は間違いだがな」
「えっ……? それはどういう意味ですか?」
「今は答えられない」
明らかな拒絶に胸が締めつけられる。直接訊けと言ったのは孝仁なのに、結局は教えてくれない。だが、それが答えということだ。
詳しいことはわからないが、まだ婚約には至っていないだけで、彩芽とのそういう話は持ち上がっているのだろう。そして、時期がきたら、二人の婚約が発表されるに違いない。
「っ、部長……」
電話の声は聞こえなかったから油断していた。どうやら梢の声は向こうに届いていたらしい。非常にまずいところを聞かれてしまった。
どうにか誤魔化したいところだが、なにも言い訳が思い浮かばない。
「黙っていても、なにも変わらないぞ。君は噂を鵜呑みにして、真実を確かめもしないのか?」
孝仁の言葉が胸に刺さる。物事の真偽を確かめず、憶測で決めつけるのは褒められた行いではない。暗に、そういう人間なのかと問われている気がして、このままだんまりを決め込むことはできないと思った。
「……彩芽さんと婚約しているという噂は本当ですか?」
「婚約はしていない」
噂の否定に少しだけほっとするも、『婚約は』という含みを持たせた言い方が気にかかる。
「本当ですか……? お二人は社長公認の仲で、いずれは部長が婿入りして、社長になると聞きました」
「それは一部分だけ正しい。大半は間違いだがな」
「えっ……? それはどういう意味ですか?」
「今は答えられない」
明らかな拒絶に胸が締めつけられる。直接訊けと言ったのは孝仁なのに、結局は教えてくれない。だが、それが答えということだ。
詳しいことはわからないが、まだ婚約には至っていないだけで、彩芽とのそういう話は持ち上がっているのだろう。そして、時期がきたら、二人の婚約が発表されるに違いない。