鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「誰かこの付近に住んでる人いる? グランルヴェールってマンション、誰か知らない?」
「あの、私、知ってます」
知っているマンション名が聞こえてきたから、思わず手を上げて答えた。
グランルヴェールといえば、会社からほど近い位置にある高層マンションだ。梢はいつも通勤時に目の前の道を通っている。
質問を投げかけていた永山という社員とその近くにいた数人が一斉にこちらへと振り向く。その勢いがただ事ではない空気を醸し出していて、梢は嫌な予感から一歩後ずさった。
「牧野さん! よかった。牧野さんなら適任だ」
「はい……?」
なにが適任なのかわからず、首を捻る。グランルヴェールは知っているが、そこに住んでいるわけではない。この人らはなにか勘違いをしているのではないだろうか。
戸惑う梢に向かって、永山がずいっと近寄ってくる。
「牧野さん、部長を頼む! グランルヴェールまで送り届けてくれ!」
「へ?」
ものすごく理解しがたいことを言われた気がする。部長を頼むとはこれ如何に。状況がまったくつかめない。
なにが起きているのかと、彼らの様子をよく確認してみれば、誰か一人を囲うように立っているではないか。その一人を目を凝らして見てみると、そこにいたのは我らが部長・宮沢孝仁だった。
孝仁はなぜか頭を抱えた状態で俯いている。
「それじゃあ、よろしく」
「えっ……ちょっと待っ――」
呼びかけも虚しく、永山らはあっという間に去ってしまった。
「あの、私、知ってます」
知っているマンション名が聞こえてきたから、思わず手を上げて答えた。
グランルヴェールといえば、会社からほど近い位置にある高層マンションだ。梢はいつも通勤時に目の前の道を通っている。
質問を投げかけていた永山という社員とその近くにいた数人が一斉にこちらへと振り向く。その勢いがただ事ではない空気を醸し出していて、梢は嫌な予感から一歩後ずさった。
「牧野さん! よかった。牧野さんなら適任だ」
「はい……?」
なにが適任なのかわからず、首を捻る。グランルヴェールは知っているが、そこに住んでいるわけではない。この人らはなにか勘違いをしているのではないだろうか。
戸惑う梢に向かって、永山がずいっと近寄ってくる。
「牧野さん、部長を頼む! グランルヴェールまで送り届けてくれ!」
「へ?」
ものすごく理解しがたいことを言われた気がする。部長を頼むとはこれ如何に。状況がまったくつかめない。
なにが起きているのかと、彼らの様子をよく確認してみれば、誰か一人を囲うように立っているではないか。その一人を目を凝らして見てみると、そこにいたのは我らが部長・宮沢孝仁だった。
孝仁はなぜか頭を抱えた状態で俯いている。
「それじゃあ、よろしく」
「えっ……ちょっと待っ――」
呼びかけも虚しく、永山らはあっという間に去ってしまった。