鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「それで、さっき皺寄せてたのは彩芽さん関連?」
「まあ、そうですね……」

 苦笑いしながら頷く。

 これに関しては、篠田が察するのも無理はない。今日は頻繁に彩芽が孝仁のもとを訪れていて、二人一緒の姿を部署の皆が目撃している。篠田は梢の気持ちを知っているから、察するのは容易だっただろう。

「やっぱりそうだったか……私が余計なこと言っちゃったからだよね。本当にごめんね」

 どうやら彩芽と孝仁の噂について教えたことを悔いているらしい。だが、梢の気持ちは真逆だ。

「いえいえ! そんなこと思ってないですよ。むしろ教えてもらってよかったと思ってます」
「そう?」
「そうですよ! おかげで今は闘志をめらめらと燃やしてるんですから。皺が寄ってたのも、たぶんそのせいです」

 彩芽に苛立っていた部分もありはするが、彼女に負けたくないという思いの方が圧倒的に強い。そのせいで、つい力んでしまったのだ。

「そっか。牧野ちゃんが前向きな気持ちならよかった」

 少し安堵する篠田を見て、申し訳ない気持ちが湧き上がる。

 本当は孝仁と上手くいっていることを伝えて安心させたい。だが、今はまだ言えない。

 社内の人間には二人の関係を明かさないと孝仁と約束している。明かすにしても、タイミングをしっかりと話し合ってからでないとダメだ。だから、信頼のおける篠田であっても、まだ明かすことはできない。

 梢は孝仁のことを話せない代わりに、もう一つの前向きな理由を語ることにした。
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