鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
『一緒にインテリアを見に行かないか? 実際に商品を見れば、なにかコンテストのヒントが得られるかもしれない。どうだ?』

 孝仁らしい提案を素直に嬉しいと感じるも、それと同時に落胆する。

「なんだ、そういうことか……」

 恋人としてデートに誘おうとしたのではなく、上司としてコンテストの手助けをしようとしてくれたようだ。デートの誘いでなかったことは残念だが、ここまで気にかけてもらっていることに感謝すべきだろう。

 ちゃんと部下としてお礼の言葉を返そう。そう思ったところで、少しの違和感を覚える。

 コンテストのために、店舗まで商品を見に行く提案。それ自体は特に不思議ではない。だが、『一緒に』というのは、この場合普通なのだろうか。

(あれ? これって、部長と休日に二人きりでおでかけってことだよね……? コンテストに関することだけど、実質デートでは!?)

 内容が仕事に関係することだったとしても、状況だけ考えればデートとさして変わりない。期待しすぎるのはよくないかもしれないが、少しくらい浮かれてもいいだろう。

『ありがとうございます。ぜひお願いします!』

 孝仁相手には滅多に使わない『!』を使用して、抑えきれない喜びを表現する。それを見て孝仁がどう思ったかはわからないが、彼からは『決まりだな』とのメッセージがすぐさま返ってきた。

「部長とデート……ふふふ」

 いつか孝仁が言っていた通りだ。先ほどまでコンテストのことで頭がいっぱいだったのに、孝仁との約束に浮かれて、すっかり思考がデートのことで占領されている。

 だが、かえってよかったのかもしれない。おかげで、煮詰まった状態からは解放されている。

 梢は週末のことを妄想し、一人でずっとにやけていた。
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