鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「おい、オフと言いながら、なぜ役職で呼ぶ?」
「え? えーと、確かに……?」
服装のことではなく、呼称に不満を抱いているようだ。
これまで孝仁のことは『部長』としか呼んだことがない。だから、その呼び方が一番自然なのだが、デート相手を役職で呼ぶのは変だとも思う。ならば、『宮沢さん』と呼ぶべきだろうか。
「じゃあ……宮沢さん?」
「まあそれでもいいが……いや、今日は互いにオフの姿で過ごそう。恋人としての時間に慣れるためにも」
「へ? それはどういう?」
「そのままの意味だ。今日は俺のことを孝仁と呼べ。いいな、梢」
インパクトのある発言に、梢は大きく目を見開く。
(ふぁ!? 今、梢って言った? 言ったよね!? いや、その前に、自分のこと『俺』って言ってなかった? ど、どういうこと!? しかも、た、孝仁って呼べとか……そんなに一気にいろいろ変えられたら、ついていけないんですけど……!)
ツッコむところが多すぎて、なにから触れていいやらわからない。口を開けたまま、何度も瞬きを繰り返す。
「なんなんだ、その反応は。そんなに難しいことは言ってないだろ」
「だ、だって、いきなり『梢』って……というか、ご自身のこと『俺』って言ってませんでした?」
「親しい人の前では『俺』と言っているからな。不快なら『私』に戻すが」
不快と感じたわけではない。ただ驚いただけだ。梢は小さく首を横に振る。
「いえ、不快というわけでは……ただびっくりして。会社だと部長はいつも『私』と仰ってるので」
「当たり前だ。それは社会人としてのマナーだ。それよりまだ役職で呼ぶのか?」
「あ……」
いつもの癖で『部長』と言ってしまった。とはいえ、下の名を呼ぶのは中々ハードルが高い。だが、孝仁の視線がそれ以外は認めないと言っている。
「……孝仁、さん」
「その呼び方、忘れるなよ」
梢は頬に手を当てながら小さく頷く。心臓がドキドキして落ち着かない。
(もう、しょっぱなからドキドキさせないでよ……うー、顔が熱い)
まだ出発すらしていないのに、この調子で無事にデートを終えられるのだろうか。梢は一抹の不安を覚えながらも、孝仁に促されるまま、彼の車へと乗り込んだ。
「え? えーと、確かに……?」
服装のことではなく、呼称に不満を抱いているようだ。
これまで孝仁のことは『部長』としか呼んだことがない。だから、その呼び方が一番自然なのだが、デート相手を役職で呼ぶのは変だとも思う。ならば、『宮沢さん』と呼ぶべきだろうか。
「じゃあ……宮沢さん?」
「まあそれでもいいが……いや、今日は互いにオフの姿で過ごそう。恋人としての時間に慣れるためにも」
「へ? それはどういう?」
「そのままの意味だ。今日は俺のことを孝仁と呼べ。いいな、梢」
インパクトのある発言に、梢は大きく目を見開く。
(ふぁ!? 今、梢って言った? 言ったよね!? いや、その前に、自分のこと『俺』って言ってなかった? ど、どういうこと!? しかも、た、孝仁って呼べとか……そんなに一気にいろいろ変えられたら、ついていけないんですけど……!)
ツッコむところが多すぎて、なにから触れていいやらわからない。口を開けたまま、何度も瞬きを繰り返す。
「なんなんだ、その反応は。そんなに難しいことは言ってないだろ」
「だ、だって、いきなり『梢』って……というか、ご自身のこと『俺』って言ってませんでした?」
「親しい人の前では『俺』と言っているからな。不快なら『私』に戻すが」
不快と感じたわけではない。ただ驚いただけだ。梢は小さく首を横に振る。
「いえ、不快というわけでは……ただびっくりして。会社だと部長はいつも『私』と仰ってるので」
「当たり前だ。それは社会人としてのマナーだ。それよりまだ役職で呼ぶのか?」
「あ……」
いつもの癖で『部長』と言ってしまった。とはいえ、下の名を呼ぶのは中々ハードルが高い。だが、孝仁の視線がそれ以外は認めないと言っている。
「……孝仁、さん」
「その呼び方、忘れるなよ」
梢は頬に手を当てながら小さく頷く。心臓がドキドキして落ち着かない。
(もう、しょっぱなからドキドキさせないでよ……うー、顔が熱い)
まだ出発すらしていないのに、この調子で無事にデートを終えられるのだろうか。梢は一抹の不安を覚えながらも、孝仁に促されるまま、彼の車へと乗り込んだ。