鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「肉球がないなら、確かに滑りやすそうですね。だから、マットを……あ、これって、うちの商品ですよね?」

 この部屋のマットはどこにでもあるようなシンプルなジョイントマットだが、自社製品かどうかは見ればわかる。

「ああ。カットパイルで爪がひっかる心配がないし、ジョイントマットだから汚れた部分だけ洗濯もできる。RIFLAの商品は素材への安心感もあるから、ずっとこれを使っている」
「確かに品質はいいですからね。そうか、ジョイントマット……」

 この部屋の床面を見て、なにかが閃きそうな予感がする。孝仁から聞いた話もヒントになりそうだ。

 梢は『ジョイントマット』『ペット』『デザイン』のキーワードを頭に置いて、それぞれを掛け合わせていく。ああでもない、こうでもないと考えているうちに、とあるアイデアを思いついた。

「あっ! これならいけるかも!」
「突然どうした?」
「部長! いいアイデアが浮かびました。スイちゃんと部長のおかげです。もう救世主ですよ。ありがとうございます。忘れないうちに向こうで考えをまとめてきますね!」
「おい、また部長――」

 新しいアイデアのことで頭がいっぱいで、孝仁の言葉は梢の耳には残らなかった。

 リビングに移動し、メモ帳を取り出してアイデアをまとめていく。あんなに悩んでいたのに、今はもうこれしか考えられない。

 梢は企画を考えるのが楽しくてたまらなくて、自分が今どこにいるのかすら忘れて没頭していた。
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