鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
 朝から大ホールに集まる大勢の社員。落ち着かない様子でそわそわしている人もいれば、同僚と楽しそうにおしゃべりをしている人もいる。中にはまだ眠いのか、大きなあくびをしている人までいる。

 今日は待ちに待ったコンテストの結果発表および授賞式。企画の提出の有無にかかわらず、基本的には全社員集まるよう言われているから、かなりの人数がこの大ホールを埋めている。

 自分の会社にこれだけの人がいたのかと梢は軽く驚いている。

 ざわざわとあちこちから聞こえる雑談の声。皆、抑えめに話してはいるようだが、人数が多いからそれなりの騒がしさとなっている。

 そんな会場内に「皆さん、おはようございます」と社長の声が響き渡った。一斉に雑談が止み、会場中から挨拶を返す声が聞こえる。梢もそれに混ざって「おはようございます」と返した。

「ただいまより企画コンテストの結果発表を行います。コンテストに参加してくれた皆さん、お疲れさまでした。予想を上回る数の応募があり、大変嬉しく思っています。ユニークな企画も多く、審査員一同楽しく読ませてもらいました」

 梢が今いる位置からだと社長の表情ははっきりと見えないが、なんとなく微笑んでいるのはわかる。今回のコンテストは社長にとって満足のいくものになったのだろう。自分もそこに貢献できていたらいいなと思う。

「今回、優秀賞に選ばれた企画は五つ、最優秀賞に選ばれた企画は一つです」

 事前の案内では優秀賞の数は提示されていなかった。梢は二、三本だろうと予想していたから、思ったよりも多くの企画が選ばれていると知って驚く。もしかしたら混戦だったのかもしれない。

「それでは優秀賞から発表していきますので、名前を呼ばれた人は壇上に上がってください」

 周囲から緊張が伝わってくる。梢も緊張からいつもよりも心拍数を上げている。企画を出した人らは今同じような気持ちになっているに違いない。

 梢は祈るようにお腹の前で手を組んだ。
< 167 / 185 >

この作品をシェア

pagetop