鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
(2、3、4……)

 エレベーターの電子パネルを見ながら、心の中でカウントしていく。もちろん数えたくてしているのではない。グランルヴェール内のエレベーターに、孝仁と二人きりで乗っている状況が落ち着かなくて、半ば無意識に数えている。

 孝仁の方はどういう感情かわからないが、ずっと黙ったままで、なんなら瞼まで閉じている。さすがに、寝てはいないだろうが、もしかしたら限界が近いのかもしれない。

 ここに到着するまでの間、孝仁は迷わず真っ直ぐに歩いてはいたが、梢の声には一切反応していなかった。思ったよりも酔いがひどいようだ。

 幸い、意識がなくなったり、嘔吐したりという症状はなかったから、家にさえたどり着けば大丈夫だろう。

 エレベーターが開くと、やはり無言のまま静かに歩き出す孝仁。梢もそれに合わせてマンションの廊下を進んで行った。

「ここ?」

 孝仁は一つの扉の前で立ち止まり、鞄から鍵を取り出している。おそらくここが彼の自宅なのだろう。それならば、梢はここでお役御免だ。

「部長、私はここで失礼しますね。お疲れさまです」

 ようやくミッション達成だと息を吐きながら肩の力を抜く。あとは自分の家へ帰るだけだ。
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