鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「牧野梢さん、おめでとう」
「ありがとうございます」
「顧客自身にデザインを考えてもらうという斬新なアイデアが審査員の間でとても好評でした」

 あの日、孝仁の家で閃いたアイデア。それは無地のシンプルなマットがもたらしてくれたものだった。

 ジョイントマットは組み合わせて使う都合上、多くの商品が無地だ。デザイン性を出すにしても、二色を交互に配置して市松模様を作るくらいがほとんどだろう。

 しかし、マットのデザインの種類が増えたらどうだろうか。無地のほかに、ボーダー柄、幾何学模様、ワンポイントイラストなど、数種類のマットがあれば、それらを組み合わせて様々なデザインのマットを作り出せる。

 世界に一つだけ、自分好みのマットに仕上げられるのだ。

 客に『デザインを作る』という体験を与える。それこそがこの商品の価値だ。

「あなたの企画はそのアイデアだけで十分最優秀賞に値します。しかしながら、今回社長賞という形を取ったのは、販促方法も評価すべきと判断したからです」

 社長の言葉に喜びが大きくなる。梢がこの企画書で力を入れたのは、実は販促に関する部分なのだ。そこを拾い上げてもらえたのだと思うと、嬉しくてたまらない。
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