鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「梢、俺と結婚してほしい。どうか受け取ってくれ」
「……いつの間に?」

 梢はただただ勢いで結婚すると口にしたのだ。二人の間でその話はまだ出ていない。

 そもそも交際を始めてからまだ三ヶ月くらいだ。指輪が用意されていると思うはずがない。

「一ヶ月前には用意していた。商品本部への異動も君と結婚するために、俺から頼んだんだ。元々異動の話は出ていたから、それを早めてもらった」
「う、嘘……」
「本当だ。俺は欲しいものを逃しはしない」

 強い瞳に胸が疼く。彼が同じ未来を見ているとわかって、喜びが抑えられない。

「梢、返事を聞かせてくれ」
「知ってるじゃないですか。あんな大勢の前で言ったんですから……私も孝仁さんと結婚したい。一緒に生きていきたいです。よろしくお願いします!」
「ありがとう、梢。大切にする」

 ギュッと強く抱きしめられた後、彼が薬指に指輪をはめてくれる。普段おしゃれで着けるのとは違う指輪。特別な意味を持つそれに梢の胸は躍り出す。

「嬉しい。ありがとうございます、孝仁さん」
「愛している、梢。君は俺にとって最高のパートナーだ」

 彩芽の台詞を横取りする孝仁に笑いがこぼれる。

 彼の表情はとてもやわらかい。愛してくれているのだと実感する。梢も優しく微笑むと、ゆっくりと顔が近づいてきた。

 躊躇わずに瞼を閉じれば、優しい口づけが与えられる。甘い、甘いそのキスで、二人の周りには幸せな空気が満ちていった。
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