鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
 出社前の忙しい時間帯。それでも梢はギリギリまでスイを構う。

「梢、朝食ができたぞ」
「はーい」

 公開プロポーズから二年。梢は孝仁のマンションに移り住み、二人と一羽で幸せな暮らしを送っている。

 朝から夫の手料理を食べるという贅沢な時間。毎日本当に幸せだ。

「この間、会議で彩芽さんが君を褒めていたぞ」
「そうなんですか? 彩芽さんは辛口なところもありますけど、意外と褒めてはくれるんですよね。ツンデレというか、ちょっとかわいい人だなと思います」

 彩芽の下で働いてみると彼女の印象はいい意味で変わった。孝仁と同じく厳しいところはあるものの、どれも至極真っ当な意見で理不尽な要求はしてこない。成果を出せば、ちゃんと評価してくれる。

 その評価の仕方は少し回りくどいのだが、マーケティング部のメンバーはそれを楽しんでいる。いかにして、彼女から褒め言葉を引き出せるかと。

「俺にはツンデレのよさはよくわからないな。全身で気持ちを物語る君の方がよほどかわいいと思う」

 二人でいるときの孝仁はいつもさらりと甘い言葉を口にする。大分慣れてはきたものの、照れくささはなくならない。

 朝から翻弄されてはたまらないと、まともに取り合いはせず、サラダを黙々と食べる。

 すると、先に食べ終えた孝仁が梢の隣に移動してきた。
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