鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~


 秋分を過ぎ、夜が覇権を握り始める十月初旬の宵の口。梢の勤め先である株式会社RIFLA(リフラ)のオフィスからは、仕事を終えた社員が一人、また一人と退社していく。

 梢の周囲にいた社員も次々に会社を後にしており、同じフロアに残っている社員はたったの数人だけ。その数人ももう仕事はしておらず、集まって談笑をしている。

 そんな状況の中、梢だけが未だにPCにかじりついて、黙々と作業を続けていた。

 インテリア雑貨を製造・販売するRIFLA。梢はこの会社に入社して今年で五年目。もっと正確に言うならば四年と半年。それだけの年月を同じ会社で働いている。

 普通に考えれば、仕事にも慣れ、効率のよいやり方を身につけていて当然だろう。だが、今の梢は目の前の仕事をこなすので精一杯。余裕など少しもない。

 別に要領が悪いわけではないし、やる気がないわけでもない。ただただ経験が乏しいだけ。

 なにしろ半年前に人事異動を命じられ、カスタマーサポート部からマーケティング部へとやってきたばかりなのだ。ここではまだまだ勉強中の身。厳しい上司にしごかれながら、慣れない仕事に奮闘する日々を送っている。
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