鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「君はここでなにをしている?」
あまりに簡単な質問に困惑する。なにをしているかと問われても、孝仁から指示された仕事をしているにほかならない。だが、そんなことはこの男もわかっているはずだ。
おそらくありのままを答えても、孝仁は納得しないだろう。別の回答を求めているに違いない。
とはいえ、孝仁の真意を理解するのは凡人には難しい。どういう意味かと問い返すのも変だから、梢はそのままを答えるしかなかった。
「……部長からご指示いただいた通り、アンケートの資料をまとめています」
プレゼントキャンペーンのアンケートに関して、売り上げなどのデータも合わせてまとめるよう依頼してきたのは孝仁だ。急ぎで対応してほしいという話だったから、今もこうして作業をしている。
「そういうことではない。なぜ定時を過ぎているのに、まだここで作業をしているのかと訊いているんだ」
「えっ」
慌ててPCの画面に表示されている時刻を確認してみれば、確かに定時を過ぎている。
無駄なコストが生じることをよしとしない人だから、申告なしの残業に怒っているのだろう。
「すみません、定時を過ぎていることに気づいていませんでした。急ぎでということでしたので、優先して作業していたら、いつの間にかこんな時間に……」
「急ぎで対応してほしいとは言ったが、今日中にとは言っていない。期限は来週の水曜と伝えたはずだ。そもそも今日はほかに大事なことがあるだろう」
大事なことと言われて、ほかになにか重要な仕事があっただろうかと思い返す。けれど、いくら思い返してみても、そんな仕事を振られた記憶はない。
「大事なこと……ですか?」
頭上から大きなため息が聞こえてきた。孝仁から呆れた視線が送られてくる。
「今日は送別会の日だ。君も参加すると聞いている」
「ああ! 送別会のことですか。はい、参加します」
幹事には参加すると伝えているし、今ももちろんそのつもりでいる。決して忘れていたわけではない。今の作業に気を取られすぎて、一瞬頭から抜けていただけだ。
そんな言い訳を心の中でしていれば、孝仁から威圧的な視線が飛んできた。
あまりに簡単な質問に困惑する。なにをしているかと問われても、孝仁から指示された仕事をしているにほかならない。だが、そんなことはこの男もわかっているはずだ。
おそらくありのままを答えても、孝仁は納得しないだろう。別の回答を求めているに違いない。
とはいえ、孝仁の真意を理解するのは凡人には難しい。どういう意味かと問い返すのも変だから、梢はそのままを答えるしかなかった。
「……部長からご指示いただいた通り、アンケートの資料をまとめています」
プレゼントキャンペーンのアンケートに関して、売り上げなどのデータも合わせてまとめるよう依頼してきたのは孝仁だ。急ぎで対応してほしいという話だったから、今もこうして作業をしている。
「そういうことではない。なぜ定時を過ぎているのに、まだここで作業をしているのかと訊いているんだ」
「えっ」
慌ててPCの画面に表示されている時刻を確認してみれば、確かに定時を過ぎている。
無駄なコストが生じることをよしとしない人だから、申告なしの残業に怒っているのだろう。
「すみません、定時を過ぎていることに気づいていませんでした。急ぎでということでしたので、優先して作業していたら、いつの間にかこんな時間に……」
「急ぎで対応してほしいとは言ったが、今日中にとは言っていない。期限は来週の水曜と伝えたはずだ。そもそも今日はほかに大事なことがあるだろう」
大事なことと言われて、ほかになにか重要な仕事があっただろうかと思い返す。けれど、いくら思い返してみても、そんな仕事を振られた記憶はない。
「大事なこと……ですか?」
頭上から大きなため息が聞こえてきた。孝仁から呆れた視線が送られてくる。
「今日は送別会の日だ。君も参加すると聞いている」
「ああ! 送別会のことですか。はい、参加します」
幹事には参加すると伝えているし、今ももちろんそのつもりでいる。決して忘れていたわけではない。今の作業に気を取られすぎて、一瞬頭から抜けていただけだ。
そんな言い訳を心の中でしていれば、孝仁から威圧的な視線が飛んできた。