鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「素人のアドバイスってことは忘れないでね。でも、私が思うに、牧野ちゃんが考える商品は完全に新しいものじゃなくてもいいんじゃないかな? あくまでも課題なんだし」
「え? でも、新商品を考えろって」
「そうだけど、史上初なんてものはそうそう生まれないよ。新商品っていってもさ、大半のものは既存の商品を改善したものだと思わない?」

 存在しないものを提案しなければという考えに縛られていたが、篠田の言う通り、すでにある商品に改善を加える方がよほど現実的だ。

 ほかにはない特徴がなにかあれば、それは新たな商品と呼べるのではないだろうか。

 急に視界が開けたようで、心が軽くなる。

「言われてみれば、確かにそうですね」
「今ある商品を調べてみて、牧野ちゃん的に足りないところを足してみるっていうアプローチはどうかな?」
「なるほど。そう考えるとグッとハードルが下がりますね。自分で商品レビューをしたら、いろいろとアイデアも浮かぶかもしれません」
「そうそう。そうやって現実に落とし込むと思いつきやすいはずだよ。もちろん完全新規のものを考えられるなら、それに越したことはないだろうけどね。でも、十本となると大変だから、いろいろと工夫してやってみるのがいいと思うよ」

 さすがは先輩社員なだけある。篠田自身には企画の経験はないだろうに、こうもわかりやすいアドバイスをくれるとは、これが社会人としての経験の差なのかもしれない。

「篠田さんの言う通りですね。ありがとうございます。なんだかいけそうな気がしてきました!」
「うん、うん! その意気! 牧野ちゃんならできるよ!」

 なんと心強い励ましだろうか。親身に寄り添ってくれる人に背中を押されると、自然と活力が湧いてくる。

 梢は篠田との会話とカフェモカで十分に癒されると、また自席へと戻り、心機一転、課題の続きへと取りかかった。
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