鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「おい、聞いたか?」

 誰かの声に、思考を遮られる。

 どうやら梢が下りている階段のもっと下の方で誰かが会話をしているようだ。まだ姿は見えないが、声は微かに届いてくる。

「また宮沢孝仁のせいで、誰かの左遷が決まったらしいぞ」

 孝仁の名が登場し、思わず足を止める。

 あの鬼のことだ。彼に対する愚痴は珍しくない。だが、今のはなんだか悪意のある言い方に聞こえた。愚痴とはまた違う。

 梢はそろりそろりと階段を下りると、ギリギリ姿が見えない辺りで息をひそめ、耳をそばだてた。
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