鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「い、いえ……部長のおかげですよ。部長が仕事を調整してくださっていますから」
「おべんちゃらはいい」

 孝仁は梢を諫めるように、ぴしゃりと言い放つ。言葉の温度差が凄まじい。

(うっ、適当に言ったこと、ばれてる……でも、嘘じゃないのに!)

 動揺したが故に適当に口にした言葉ではあるが、嘘は一つも混じっていない。

 孝仁の振る仕事はもちろん大変だが、決してできない量やレベルのものではない。なぜかいつもギリギリでクリアできてしまうのだ。

 課題が出されてからは臨時業務の割合が減っているし、孝仁が梢の仕事を調整していることは明らかだ。

「いや……私は本当にそう思って――」
「真偽は関係ない。私にゴマすりは不要と言っているんだ。君は私の傀儡ではないんだろう?」
「あっ、はい! 傀儡ではありません!」

 なんとも不可思議な会話だ。けれど、二人の間では、はっきりと意思が通じ合っていた。

 要するに、変に孝仁を立てる必要はないと言っているのだ。

 おそらくは梢が素直に賛辞を受け取らなかったから、あえて言ったのだと思う。もしかしたら、あの男らへの皮肉も入っているのかもしれない。
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