至上最幸の恋
そこで初めて異文化に触れて、衝撃を受けた。これまで、自分がどれほど狭い世界で生きていたのか思い知らされたんだ。
この目でたくさんの世界を見てみたい。この手で描き尽くしたい。ふつふつと沸き立ってきたこの感情が、旅を始めるきっかけだった。
「とても……とても、よく分かりますわ」
オレの話を聞いて、エリサが何度も頷く。
「私も、ウィーンに来て思い知りました。世界はとても広くて、自分がどれだけ未熟だったのかを」
少し表情が曇った。大学で苦労しているのかもしれない。最高峰の音楽大学だから、才能のある音楽家が世界中から集まっているのだろう。
藝大も同じだ。信じられないほどの個性と才能を持った人間が、山ほどいる。最初は、自分との差を感じて打ちひしがれたものだ。
「未熟か。人間は一生、未熟なままかもな」
「一生ですか?」
「完璧にはなれねぇってことだよ」
エリサが目を瞬かせる。キリンのようにまつ毛が長いな。
「瑛士さんは、画家として完璧を目指していらっしゃらないのですか?」
「もちろん目指しているよ。ただ、完璧ではないことを否定はしない」
どのような物事も、必ず欠けている部分や歪みがあるものだ。一時的に完璧な状態になれたとしても、時間経過や環境変化によって崩れていく。
この目でたくさんの世界を見てみたい。この手で描き尽くしたい。ふつふつと沸き立ってきたこの感情が、旅を始めるきっかけだった。
「とても……とても、よく分かりますわ」
オレの話を聞いて、エリサが何度も頷く。
「私も、ウィーンに来て思い知りました。世界はとても広くて、自分がどれだけ未熟だったのかを」
少し表情が曇った。大学で苦労しているのかもしれない。最高峰の音楽大学だから、才能のある音楽家が世界中から集まっているのだろう。
藝大も同じだ。信じられないほどの個性と才能を持った人間が、山ほどいる。最初は、自分との差を感じて打ちひしがれたものだ。
「未熟か。人間は一生、未熟なままかもな」
「一生ですか?」
「完璧にはなれねぇってことだよ」
エリサが目を瞬かせる。キリンのようにまつ毛が長いな。
「瑛士さんは、画家として完璧を目指していらっしゃらないのですか?」
「もちろん目指しているよ。ただ、完璧ではないことを否定はしない」
どのような物事も、必ず欠けている部分や歪みがあるものだ。一時的に完璧な状態になれたとしても、時間経過や環境変化によって崩れていく。