至上最幸の恋
 とりあえず、ラウロの助言は適当に聞き流すことにした。オレは陽気なイタリアンではない。
 ただ、最初に贈り物を渡すと、荷物になるのは確かだ。小さい物ではあるものの、やはりタイミングは考えておこう。

 雨の景色も見ておきたかったので、昼前だが出かけることにした。

 やはり傘をさして歩く人は、ほとんど見かけない。ウィンドブレーカーを着ているが、荷物が濡れると困るので、折りたたみ傘を取り出した。

 そういえば今日は日曜か。どうりで人通りが多いわけだ。

 旅をしていると曜日が分からなくなるが、あくせくした日常から解放されている証だと思う。この感覚は嫌いじゃない。

 街の風景を何枚かカメラに収めたあと、適当なカフェに入った。窓際の席が空いていたので、そこに座ってスケッチを始める。

 同じ景色を描いても、どこをどう切り取るかは人それぞれだ。個性や感性と言われる部分だが、ラウロとオレはそこが似ている。

 性格が違っても、同じ感性を持つ人間とは親しくなれる。おそらくエリサもそうだ。言葉で言い表すのは難しいが、会話をしていて共感できる部分が多い。

 これまで付き合ってきた女性からは、いつも「なにを考えているか分からない」と文句を言われてきたが、エリサなら笑って受け入れてくれそうな気がする。
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