至上最幸の恋
「さっそくまいりましょうか。10分ちょっと、歩きます」
「オペラ座の近くだったな」
「はい。フィルハルモニカー通り沿いです」

 ウィーン国立歌劇場、通称オペラ座は、パリやミラノと並ぶ世界三大オペラ劇場のひとつだ。

 一見格式が高い場所のように思えるが、立見だと20シリング、約240円で観劇できる。今回は外から建物の写真を撮っただけだが、いつか中にも入ってみたい。

「瑛士さんは、オペラに興味はおありですか?」
「一度は観劇してみたいな。インスピレーションが刺激されそうだし」
「ええ、とても素晴らしいですよ」

 歩きながら話していて、ふと思った。エリサは身長が高いので、視線がほぼ同じ高さだ。そのせいか、よく目が合う気がする。

 オレも日本では高身長の部類だから、こういう感覚は新鮮だ。

「今日も絵を描かれていたのですか?」

 オレが小脇に抱えているスケッチブックに視線を向けて、エリサが言った。

「ああ。カフェでスケッチしていた」
「瑛士さんは、風景画がご専門なのですか?」
「専門ってわけじゃねぇけど、風景画を描くのが一番好きだな」

 もともと、景色を眺めるのが好きだった。母親曰く、子どものころは漫画やアニメには目もくれず、ひたすら景色ばかり描いていたらしい。
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