至上最幸の恋
 ほぼ満席だったが、待たされることなく席へ案内された。

 外観だけでなく、内装もクラシカルだ。赤い壁と赤いソファが並び、シャンデリアや鏡が眩しく輝く中に、ハプスブルク家の肖像画などが飾られている。

 だが、自分がこの場にいることに、強烈な違和感を覚えた。

「なぁ。なんか場違いじゃねぇか?」

 上品なワンピース姿のエリサはともかく、オレはジーンズにスタジャンという出で立ちだ。髪もボサボサだし、エリサと比べると明らかに小汚い。

「大丈夫ですよ。ドレスコードはありませんから」
「いや、それにしたって、オレみたいなみすぼらしい人間が入っていい場所とは思えねぇんだけど」
「瑛士さんは素敵ですから、問題ありません」

 どこがだよ。安物の洋服を身につけた、冴えない男でしかないだろう。一体オレのどこを見てひとめ惚れしたのか。あまりにも不可解だな。

 5つ星ホテルの併設店だけあって、やはり小綺麗な格好の客ばかりだ。
 ただ店員はオレを見てもなにも言わなかったし、特に変な目で見られることもなかったので、気にしないことにした。

「瑛士さんも、お紅茶とザッハトルテでよろしいですか?」
「あぁ、同じものでいいよ」

 席につくと、エリサはメニューを見ずに注文した。何度も来ているのだろう。
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