至上最幸の恋
「ここは、ザッハトルテ発祥のお店なんですよ」
「へぇ。そりゃ、どんな味なのか楽しみだな」
旅先の情報は頭に入れているものの、いわゆるグルメ系はまったく調べていない。基本的に、好き嫌いがないからだ。
ただ、食に興味がないわけではなかった。ここでしか食べられないものなら、ぜひ味わってみたい。
「日本でよく行く喫茶店には、ザッハトルテなんて洒落たもんはねぇからな」
「そちらは、行きつけのお店なのですか?」
「ああ。コレットっていう大学の近くにある店で、友だちの両親がやっているんだよ。カレーが美味くてさ」
「帰国したら、ぜひ行ってみたいです!」
一緒に行くか。そう言いかけて口を噤んだ。守れない約束など、しないほうがいい。エリサも、それ以上はなにも言わなかった。
「あ、来たみたいですよっ」
注文を運んできた店員を見て、エリサが声を弾ませる。そして目の前にザッハトルテとティーセットが置かれると、感嘆の声を上げた。
「いつ来ても、この瞬間は心が踊ります」
「紅茶はティーポットで提供されるのか」
「ええ。お淹れしますね」
エリサがティーポットを手に取り、手慣れた様子で紅茶を注ぐ。カップが琥珀色で満たされるのと同時に、柑橘の香りが鼻孔をくすぐった。
「へぇ。そりゃ、どんな味なのか楽しみだな」
旅先の情報は頭に入れているものの、いわゆるグルメ系はまったく調べていない。基本的に、好き嫌いがないからだ。
ただ、食に興味がないわけではなかった。ここでしか食べられないものなら、ぜひ味わってみたい。
「日本でよく行く喫茶店には、ザッハトルテなんて洒落たもんはねぇからな」
「そちらは、行きつけのお店なのですか?」
「ああ。コレットっていう大学の近くにある店で、友だちの両親がやっているんだよ。カレーが美味くてさ」
「帰国したら、ぜひ行ってみたいです!」
一緒に行くか。そう言いかけて口を噤んだ。守れない約束など、しないほうがいい。エリサも、それ以上はなにも言わなかった。
「あ、来たみたいですよっ」
注文を運んできた店員を見て、エリサが声を弾ませる。そして目の前にザッハトルテとティーセットが置かれると、感嘆の声を上げた。
「いつ来ても、この瞬間は心が踊ります」
「紅茶はティーポットで提供されるのか」
「ええ。お淹れしますね」
エリサがティーポットを手に取り、手慣れた様子で紅茶を注ぐ。カップが琥珀色で満たされるのと同時に、柑橘の香りが鼻孔をくすぐった。